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【fukaレポ】哲学対話 ~働けるって大人?~

「働けるって大人?」

報告がない期間が長くなってしまいました。「こども編集部のこどもと大人」を背負っている、レポート担当ふうかです。

夏休み真っ只中の8月10日、塩屋hesoにて、3回目の哲学対話が開かれました。あいにくの雨でしたが、こどもたちは哲学対話にも慣れてきた様子で、まずは真剣に進行係の高校生の話を聞いていました。今回は、労働基準法や、日本でもされていた炭鉱労働について知ったあと、対話がスタートしました。

2つのグループに分かれて、それぞれが思う、「働く」と「大人」の関わりを話しました。私がいたグループは、海外で働いているこどもたちは、なぜ働いているのか?から始まり、自分が大富豪なら、働こうと思う?という質問に、「お金があって、寄付をすることも、貢献という意味では働くことと一緒なんじゃないか?」という意見が出て、対話に火がつきました。それ以外にも、お手伝いと仕事の違いや、15歳以下でもできる起業と、15歳以下はできない労働の違いについて考えたり、芸能界で活動するこどもたちや、サーカスのこどもたちは法律の抜け穴になっていることにも気づいたりしました。

飲食店のホールにいたり、家で掃除をしたりしているロボットたちは、「働いている」というのでしょうか。もし、働くことがお金をもらうことに繋がるのなら、ロボットたちはお金をもらっていないので、働いていないことになります。でも、私は、ロボットを見て、「働いている」と思います。ここで、「働いている」といえるのは、お金をもらうことだけではないという気づきがありました。実験動物や使役犬は、働いてる?お金はもらっていないけど、ロボットも、動物も、働いているといえるなら……

その全てが、共通して、「誰かのために、何かをして」います。働くということを、「誰かのために、何かをする」ということだとすると、生きているだけで、みんな、誰かのために、何かをしていて、その点では、みんな、働いているのかもしれません。
私は、対話を通して、「働けることが大人」というわけではなくて、みんな、働いているのかもしれないなと思いました。

ここで白状します。私は、このレポートを書く役割を携えて哲学対話に行っているので、今回は「働けるって大人?」というテーマだと知って、「終戦から80年だし、こどもたちも戦争のために使われていた話でも書こうかな」と思いながら対話を始めました。対話の中でその話が出なかったとしても、「今年は終戦から80年だし……」と話題を繋げていけば書けるだろうと思っていました。

対話が進んで、私の思い通りにはなっていないなと気づきました。それと同時に、思い通りにいかないことを気持ちよく感じていました。1人では絶対に思いつかない考えまで、哲学対話をすると簡単に連れて行ってくれます。普段の会話では相手に合わせることが多いけど、哲学対話の場では、自分の考えを誰にも頼らず話すので、良い意味で裏切られるんだと思います。同じ考えを話していても、あなたと私は全く同じではないな、と気づけるのが哲学対話の良さなんだなと思いました。自分の考えを話せたり、話せなかったり、誰かの考えにびっくりしたり、何を考えていたのか忘れてしまったり、感情が忙しなく動くからこそ、予想もしなかった考えに連れて行ってくれるのかもしれません。

私がいたグループは、「生きているだけでみんな働いてる」という意見が出ましたが、この世界が、生きているだけで、みんなが誰かに感謝されたり、祝福されたり、認められたりする世界であればいいなと思います。そんな世界になるためにも、自分の言葉で話して、相手の話を聞いて、みんなと一緒に生きていきたいです。

哲学対話が終わって、最後に、「ペレのあたらしいふく」という絵本を読みました。ペレという男の子が、自分で刈った羊の毛を服にするために、近所の人に手伝ってもらう代わりにお手伝いをして、自分の服を完成させるお話です。自分ができないことも、誰かと手を取り合えば、できるようになって、現代の日本人が「仕事」と言っていることも、本質的にはそういうことなのかな、と思えた時間でした。

次回は何を考えられるのか、わくわくしています。

レポ*サポーターfuka

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