こども編集部        


「こども編集部」を支えるおとなたち。Vol.1は、こども編集部の代表であり、このプロジェクトの構想を作った<とんちゃん>。写真家でアートセラピスト、取材・編集もこなすパワフル母ちゃんです。

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写真を撮ることは「自分を認めること」

母親の実家が写真屋さんだったこともあり、こどもの頃からカメラの機材が身近にありました。なんとなく「自分探し」をし始めた高校時代、バスケ部とかけ持ちで在籍していた写真部の活動がどんどん楽しくなって、いつのまにか写真に夢中に。文化祭で初めて、友達の書いた詩に写真を合わせた展示をしたら、みんなに見てもらえることがすごく気持ちよくて。「自分を表現するって、めっちゃ楽しい!」と感じた瞬間でした。

当時から世界史が好きで、なかでも推しはアレクサンドロス大王と、その師・アリストテレス。アレクサンドロスは、東方という未知の世界を切り拓き、異文化との融合を果たした野心と、大勢を動かすカリスマ性が魅力的。もちろんイケメンであることも重要ポイントだけど(笑)。アリストテレスは、医師でありながら哲学も芸術も、政治も宇宙も教える学識の広さと、将来有望な若者を「議論と対話」で導く教育法に「こんな師匠が欲しい」と憧れたなぁ。

そんな二つの“好き”が偶然重なったのが大学時代。興味のあった哲学を勉強する中で、「表現アートセラピー」と出会いました。特に深く学んだのは写真療法。たとえば、美しい写真を見れば癒されるのはよく分かる。でもそれだけじゃなく、写真には「撮る側も、撮られる側も」癒す力があるんです。写真を撮る行為って、実は選択の連続。「なにを撮るか」「いつ撮るか」「どう撮るか」…細かくは光の量を決めたり、構図を決めたりと、一枚の写真を撮る作業の中に多くの選択と決定があって、その過程が一つひとつ、“自分を認める”行為になる。幼い頃から親しんできた「写真」にそんな力があるんだと知り、自分のやりたいことが見つかりました。

こどもが作り、こどもに届け、大人は見守る場所

子育てをしながらカメラマンとして撮影や取材の仕事をこなしつつ、こどものための写真教室を開くなど「写真を通して人と繋がる」ことを模索する日々のなか、ようやく同じ気持ちをもつ伴走者を得たタイミングで「こども編集部」を立ち上げました。まだまだ手探りではあるけど、まずは一年間いろいろなジャンルのワークショップを重ねて、「おもしろそう!」とついてきてくれるこども達にも背中を押され、走り出すべき方向性がようやく、見えてきたかな。

私は長女だったこともあって、こどもの頃は周りにあまりお手本になる先輩や大人がいなかったので、とにかく自分で本を読んだり映画を観たりしながら自分のベクトルを見つけていったような気がするのだけれど、本当は「ちょっと年上の、なんとなく分かってくれる人が近くにいたらよかったな」と思っていた気がします。

「こども編集部」には、いろんな生き方、いろんな働き方、いろんな遊び方をしてきたカラフルなおとなサポーターたちがいます。こども達が自分の手でメディアを作り、誰か(特に、同じ年代のこども)に届ける過程で自分の「好き」を見つけたら、その道を進むためのアドバイスをくれる大人も、きっと見つかります。

つかず離れずの距離感で人と人が繋がっている、神戸・塩屋という地域性も活動を支える味方。悩めるこどもがいたら、きっと誰かが、深くピンポイントで届く言葉をかけてくれるはず。ここに集まるすべてのこどもと大人たちにとって、居心地のいい場所であり続けることが、とりあえず当面の、私の目標です。

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